世界遺産には「危機遺産リスト」というものがあるのをご存じでしょうか?
その名の通り、その遺産が危機にさらされている場合にリストに登録されます。
危機の原因というのは例えば、自然災害や紛争・戦争による破壊、都市開発や観光開発による景観悪化、密猟や違法伐採による環境破壊などです。
関連する話で試験に出そうなので押さえておきたいところは、、、
①初めて危機遺産リストに登録された、モンテネグロの『コトルの文化歴史地域と自然』。
②危機遺産リストに記載されることなく世界遺産リストから抹消された、オマーンの『アラビアオリックスの保護地区』。
それ以外で、世界遺産検定2級の出題範囲である世界の代表的な遺産300件の中から危機遺産リストに載っているものを記していきます📝
(記載例)
★遺産名
(国名、危機遺産登録年)
危機の主な原因
★オリーヴとワインの土地-バッティールの丘:南エルサレムの文化的景観
(パレスチナ自治政府、2014年)
原因:構成資産に修復困難な損害が加えられたため。
★ナン・マトール:ミクロネシア東部の儀礼的中心地
(ミクロネシア連邦、2016年)
原因:マングローブの繁茂による遺産への影響。
★カスビのブガンダ王国の王墓
(ウガンダ共和国、2010年)
原因:主要な構造物のひとつである王墓が火災によりほぼ全焼。
★ウィーンの歴史地区
(オーストリア共和国、2017年)
原因:都市開発による景観悪化の懸念。
★ジェンネの旧市街
(マリ共和国、2016年)
原因:内紛による政情不安定。
★ダマスカスの旧市街
(シリア・アラブ共和国、2013年)
原因:内戦による遺跡の損傷。
★サナアの旧市街
(イエメン共和国、2015年)
原因:内戦による市街地の損傷。
★聖都アブー・メナー
(エジプト・アラブ共和国、2001年)
原因:干拓により地下水位が上昇したために、遺跡の崩壊の危機。
★エルサレムの旧市街とその城壁群
(エルサレム(ヨルダン・ハシェミット王国による申請遺産、1982年)
原因:ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地。帰属をめぐる紛争、巡礼者による観光被害。
★キレーネの考古遺跡
(リビア、2016年)
原因:内紛による政情不安定。
★レプティス・マグナの考古遺跡
(リビア、2016年)
原因:内紛による政情不安定。
★アッシュル(カラット・シェルカット)
(イラク共和国、2003年)
原因:遺跡付近でダム建設計画が浮上し、浸水が危惧された。
★クラック・デ・シュヴァリエとカラット・サラーフ・アッディーン
(シリア・アラブ共和国、2013年)
原因:内戦による遺跡の損傷。
★ポトシの市街
(ボリビア多民族国、2014年)
原因:不十分な鉱山管理。
★リヴァプール海商都市
(英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)、2012年)
原因:再開発により歴史的景観を損なう可能性がある。
★バーミアン渓谷の文化的景観と古代遺跡群
(アフガニスタン・イスラム共和国、2003年)
原因:内戦による遺跡の損傷。タリバン政権による石仏の破壊。盗掘が絶えない。
★円形都市ハトラ
(イラク共和国、2015年)
原因:IS(イスラム国)の占拠・破壊。
★エヴァーグレース国立公園
(アメリカ合衆国、1993~2007年、2010年)
原因:深刻な水質汚濁と水位の低下に伴う生態系の破壊。
★アツィナナナの熱帯雨林
(マダガスカル共和国、2010年)
原因:森林の不法伐採。絶滅危惧種であるレムール類(キツネザルなど)の密猟。
★ガランバ国立公園
(コンゴ民主共和国、1984~1992年、1996年)
原因:密猟により世界的に貴重なキタシロサイが減少。公園関係者が殺害される事件も。
★ヴィルンガ国立公園
(コンゴ民主共和国、1994年)
原因:ルワンダの内戦の影響で難民が流入し、樹木の伐採が進んだ。
★リオ・プラタノ生物圏保存地域
(ホンジュラス共和国、2011年)
原因:熱帯雨林の伐採。コンゴウインコの密猟。
参考資料: